「みえの子ども・若ものが、みえの仕事に出会う」
NPO法人a trio(ア トリオ)

つなぐ~NPO役割

最初に「なぜ、NPOという組織をつくって活動しようと思ったのですか」と尋ねてみました。
「私たちは、人と人、人と場、人と組織をつなぐ役割を担う『ハブ』になりたいのです。NPOは「つなぐ」ためには最も適した組織体です。個人も組織も、企業も行政も大学もつなぐことができる。世代もつなぐことができる。そして「地域」で活動することができる。多様な主体や場をつなぐことで新しい何かを地域に生み出していくことができる組織は、NPOしかないと思っています。」と理事長の山口さんの言葉です。

幸せな仕事をしている人で三重をいっぱいにする

「これがa trioのミッションです。「幸せな仕事」とはどのような仕事でしょうか。人の価値観はそれぞれ違うでしょうが、a trioでは、好きでやっていると思える仕事、主体性を持って取り組める仕事だと考えています。
ではその主体性はどう育てるのか。そこでa trioの主たる事業「三重チャレ」が始まりました。

「三重チャレ」には2つの取り組みがあります。1つは小学生・中学生・高校生を対象にした、働く人に密着してその人を通して仕事を知る短時間の「三重チャレしごと密着体験」。もう1つは高校生・大学生を対象とした「三重チャレインターンシップ」です。この2つの事業が共通して重視していることは先生や親にやらされるのでなく、自分で決めて自分で申し込むことです。ですので公募型として直接a trioに申し込む形にしています。10年実施しているこのキャリア教育体験事業には参加児童・生徒を中心に、多くの立場の違う人たちが関わってくれています。
① 学校の先生 ②保護者 ③教育委員会 ④企業 ⑤a trio(コーディネーター)です。それぞれに立場
があり、考えがあり、求めることがあります。そこをコーディネーターであるa trioが調整しています。
企業での体験で児童・生徒は社会を知っていきます。そして自分の進路を主体的に考え、何のために勉強するのかはっきりした目的を持っていきます。

実は、コロナ禍の中、少ない体験の機会を密度の濃いものにしょうと、企業さんの協力で三重チャレを進化させました。参加してきた高校生にあらかじめキャリアカウンセリングをし、生徒1人1人の個性や将来の夢、現在やっていることなどをヒアリングし、その上で企業さんと一緒にプログラムを作成することにしたのです。オーダーメイドの高校生インターンシップです。大学生ではやっていたのですがそれを高校生にもやり始めました。高校生は家庭環境や経験の差で個性が際立ってくるので、個別での対応が求められてきたのです。」

地域で生きるということは地域で働くということ

三重県は「人口の減少」という深刻な課題を抱えています。人口減少は、産業や経済を衰退させ、社会の持続性が確保できない状況を生み出します。この問題を解決に導くためには、次世代が三重県で仕事に就き、生活をする状況を創り出すことが必須です。この喫緊の問題を解決するためには、a trioがこれまで培ってきたノウハウやネットワーク、実績が役に立つのではないですか、と質問をしてみました。
「三重の人口減少や若者の流出を食い止めるために、地元企業や地域経済を活性化すること、三重の事業所に三重の次世代が就職することは不可欠です。そのために、三重の事業者と子どもたち、次世代が出会い、つながることはとても重要です。企業は今、自社の存続のために、人材の確保を重要課題としています。少子化のなかで、三重で育った子どもたち、若者が三重で就職するチャンスをどう作っていくか。一度他県に出たとしても三重に戻ってくる、戻ってこられる状況をつくらないといけないんです。私たちの願いは『三重で』幸せな仕事をする人、人材、次世代を創出することです。」
山口さんは、長年、キャリアコンサルタントとして起業支援、人材育成事業を行ってきました。
そして現在は、企業の働き方改革や障がい者雇用のサポートなど研修やコンサルティング事業も実施しています。地元で育った生徒や学生が就職した会社をもっと良い会社にしていくお手伝いで、とてもやりがいがあるそうです。

様々なステークホルダーの心をひとつにする 

「児童・生徒・学生を中心とした地域社会には様々なステークホルダーが存在します。最初は家庭が中心となって子どもたちを育んでいきますが、だんだんと学校や地域の大人たちが関連していきます。その背景には行政や政治など大きな枠組みもあります。そして子ども達は最終的には、なにがしかの組織体で経済活動を始めます。その全ての関係者たちの想いは実は1つです。この国に生まれて良かった、この地域で育って良かった、この会社に入って良かった。幸せな地域で幸せな仕事ができて本当に良かったと思えるようになることです。バラバラになりがちなステークホルダーたちの方向性をまとめていくことがNPOの役割ではないでしょうか。」
キャリアコンサルタントは人の人生を絶えず短期と長期で考えるそうです。将来どうなっていたいのかがあり、今どうするべきかがある。逆に今の体験が将来どうなりたいかを決めていく。
今回、a trioの山口さんと出会い、子どもや若ものにとっていかに「体験」が重要であり、
それぞれの成長段階で、誰に出会い、どのような体験をするかで、学びたいこと、さらにはどのような仕事につきたいか、の選択肢が変わってくる、広がってくることに気づかされました。

a trioの強みは、三重県の企業や業界団体とのつながり、そして「教育」からアプローチをすることです。三重の企業者と三重の子どもたちの出会いの場、つながる場、学びあう場をつくり多くの地元企業がその取組みに共感をして参加しています。まさに「協働」ですね。企業、教育機関、行政と一緒に取り組むことで、個人にとって、組織にとって、地域にとって、三重県にとってメリットになる状況が生み出せる。逆にいえば、一緒に取り組まないと問題が解決しない。」まさに「協働の醍醐味」です。山口さんの言葉や行動でそれを感じることができました。

■NPO法人a trio(ア トリオ)■
「『幸せな仕事』をしている人でいっぱいの三重をつくる!」をミッションに、個人と組織と地域がそれぞれレベルアップし、互いに機能的に絡み合うためのハブとしてつなぐ役割を担っています。
〒511-1125 津市久居元町2361-2 MC第一ビル101 電話059-253-7657 https://a-trio.net/

記事のシェアはこちらから!