「休耕田で出会い、食し、農地を守る~そば栽培を通して」
車川山里ファン倶楽部×シャープディスプレイテクノロジー株式会社三重事業所・株式会社ミエテック

車川山里ファン倶楽部 https://www.instagram.com/kurumagawayamazato/

三重県多気町車川。松阪駅から40分ほどの集落で、人口100人、50戸の小さな山里です。自然林がたくさんあり、山の仕事はもちろんのこと、昔は稲作と麦の二毛作をしてました。また、かつてこの地域は醸造業が盛んでいくつもの酒蔵がありました。今も旧油田邸宅を大切に保存しながら、山と川に囲まれた「田舎の美しさ」を守り続けています。  

しかし、車川地区でも全国の農村と同様、遊休農地の増加、農地荒廃、高齢化、過疎化、獣害等の問題を抱えています。
そこで、地元有志が、車川のファンを増やしたい、と「車川山里ファン倶楽部」を設立。旧油田邸を拠点に、山里の季節を感じられるイベントを行い、松阪市、津市など遠方からの参加者をえた活動を展開しています。

シャープディスプレイテクノロジー(株)三重事業所 https://corporate.jp.sharp/eco/sgf/site_report/mie/index.html

1995年にシャープ(株)三重事業所として操業を開始し、ディスプレイパネルの開発・製造を行っています。
2020年には、シャープ(株)のディスプレイデバイス事業を分社化し、シャープディスプレイテクノロジー株式会社としてスタートしました。

三重事業所は、三重四川のひとつである清流「櫛田川」とその支流「佐奈川」の流域に位置しており、田畑や里山に囲まれたとても自然豊かな地域です。この豊かな自然環境のもとで操業をするにふさわしい工場として、環境負荷を最小限にし、環境に配慮した商品づくり、生物の保全、地域への貢献に取組み、地域との信頼関係を築くことを大切にしています。2003年頃から、工場周辺のごみ拾いや川の清掃などのボランティア活動を立ち上げ、さらに取組みを拡大したい、地域で本当に困っていることを少しでも解消できるような活動をおこないたい、と多気町役場に相談をし、地域と協働で実施できる取組みを模索していました。


車川山里ファン倶楽部×シャープディスプレイテクノロジー(株)三重事業所・株式会社ミエテック

三重事業所が多気町役場から紹介されたのが、耕作放棄地対策に取り組む「車川山里ファン倶楽部」でした。紹介された「車川山里ファン倶楽部」は、最初「企業のCSR?」という感じで活動を始めたといいます。
三重事業所の生産協力会社(株)ミエテックと共に、2012年に休耕田でのそば栽培を開始。お互い初めてのそばの栽培であったため。作業全てが試行錯誤であり、三重県の農業改良普及センターの職員から作業手順を聞きながら進めたそうです。今では、シャープとミエテックの社員と一緒に、種まき・土寄せ・収穫作業・鎌を使っての草刈りをしています。

車川里山ファン倶楽部会長の寺村善治さんは話されます。
「自然の力とそば(生き物)が相手のため、予測できないことが多いです。ここ数年は、気候の急変で栽培が困難になってきています。蕎麦は水に弱いんです。ソバの種を蒔く8~9月に最近雨が多いため、ソバが栽培しにくいです。休耕田を何とかしようと始めたのだから、コメにしようかという話もあります。ソバでもコメでもお金に換えることも考えないといけないし、地元での消費を拡大したいという思いがあります。
今シャープさん、ミエテックさん合わせて20名ほど参加いただいています。このお付き合いは続けていきたい。家族の方も地域のイベントに参加いただいています。この育んだ関係性を大切にしたい。車川を好きになってほしいし、車川に来ることを楽しみにする人が増えてほしい。」
車川の風景に、こども、わかもの、大人、シニア、多様な世代が集まり、一緒に作業をし、汗をかく。なかなか出会わない企業とNPOが、日本の農山村が抱える問題を共有し、できることを一緒に着実に進めている様子が脳裏に浮かびました。

ソバ畑で参加者記念撮影
2014年、三重事業所の社員食堂で
「そばがき」として提供。完売!
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