「三重県産の花・果実・野菜などを原材料にしたコスメ製品の開発」 NPO植える美ing×万協製薬株式会社

NPO植える美ing https://www.facebook.com/ouka.well.being.org/

三重県多気郡多気町にある相可高校。NPO植える美ingは、相可高校生産経済科に通う高校生が2007年12月に立ち上げた団体です。生産経済科では110名のほどの高校生が草花や野菜の生産、造園を学んでおり、NPO植える美ingでは、35名(卒業生も含めて)ほどがその学びを活かして「園芸福祉」活動を行っています。

園芸福祉は、花や野菜を育ててみんなで幸せになろう、という活動。高校生は保育所や高齢者施設、一人暮らしで庭づくりができない高齢者宅に出かけ、子ども達、高齢者と一緒に土に触れ、花や野菜を育て、花の匂いを嗅ぐ、野菜を食するなど五感を刺激しながら楽しんでいます。
しかし、活動が展開されるにつれて資金難という課題にぶちあたりました。会費1000円の事業費では足りなくなってしまったのです。そこで出会ったのが、万協製薬株式会社でした。

多気町がバイオマス発電への関心が高く、相可高校も県立秋田大学からプラントを譲り受けることになりました。クラウドファンディングで資金を集め移設。バイオマス肥料を使ってバジルを育て、地元企業と協働で菜種油を使ったバイオバジルオイルを開発しています。生徒がバジルオイルを使ったレシピ集を発行。ふるさと納税の返礼品になっています。

万協製薬株式会社 https://www.bankyo.com/

万協製薬㈱は医薬品と一部化粧品を製造販売している会社です。大手メーカーの委託による塗り薬が主な商品ですが、昨年から自社ブランドも作っています。現社長の先代が1960年に神戸で創業。1995年の阪神・淡路大震災で被災をし、塗り薬を製造する機械3台のみが使えたことから塗り薬に特化し、三重県多気町に会社を移設しました。その経緯から万協製薬では、地域社会への貢献に力をいれています。

NPO植える美ing×万協製薬株式会社

出会いは役場の方を介してです。万協製薬の松浦社長は、園芸福祉の活動に、子どもや高齢者と学生だけでなく企業も加わらなければいけない、と話され、相可高校と多気町と万協製薬で始めよう、特に相可高校の生産経済科の生徒にスポットライトを当てた活動をしていくと展開されます。
そこで考えたのが、NPO植える美ingの強みである「野菜や花、果樹」と万協製薬株式会社の「化粧品・医薬品」をコラボレーションした「コスメ用品」の開発です。ハンドジェル、ハンドクリーム、化粧水、美容液、シャンプー、リンス、ボディジェル…など。化粧品の原料は、伊勢茶やカキの葉、ミカン、新姫、菱の実、パール、あずき、地元のお酒など。三重県、特に南勢の特産物を使って地域を活性化しようと取り組んでいます。商品のパッケージは高校生のデザイン!とてもかわいく手にとりたくなるものばかりです。

次のチャレンジは商品をどう売るか、です。

「企業の役割に思えてしまいますが、協働開発した商品だからこそ、多くの人に買っていただきたいし、どんな人に買ってほしいかを高校生と一緒に考えたい。そのためには商品のストーリー性を高校生と一緒に考えたい」とも担当の深水さんは話します。
「まだ具体的にはご紹介できないのですが、今開発している商品は「高校生のアイデア・センス+ストーリー性」をさらに打ち出します。過去販売したものより新しいものをつくりたい。高校生に商品をつくるだけではなく、販売することの楽しさや成果、生きた経営を学んでほしい。」
クラウドファンディング、ふるさと納税の返礼品…など。高校生が商品管理や経営を学ぶ機会へと活動が進化していきます。
企業や社会とつながる高校生のNPO活動は高校生の大切な学びの機会となります。就職する際の面接、プレゼンテーション、アイデア力などが高まります。地域の次世代人材の育成にもつながります。高校生NPOと企業の協働が次々と創出されています。

万協製薬株式会社工場で商品づめをする高校生
共同開発したコスメ製品の紹介ポスター
開発したハンドクリームを使っての
ハンドマッサージをする高校生
記事のシェアはこちらから!