「地域の木と暮らす」三栄林産株式会社

「地域の木と暮らす」 
三栄林産株式会社

三栄林産株式会社は亀山市加太にある「森と木のあるライフスタイル創造カンパニー」です。森や木と、より近い暮らしをつくるために、地元の亀山市加太にノッティーハウスリビングの店舗をつくり地域材の家具や木製品の販売などを行い、また加太地域の自然を楽しめるキャンプ場(かぶとの森テラス)をつくるなど、様々なカタチで「地域の森と木の価値」を伝えています。

■森とひとの暮らし

当社は73年前に祖父が炭焼き事業と林業で創業し、現在は製材業、建築事業、家具製作事業、キャンプ場事業と様々な事業に取り組んでいます。木材を原木から製材、加工し住宅や家具として一般消費者さんに提供する、まさに私たちの仕事はSDGsのど真ん中的な存在だと思っています。
林業では植林してから何十年、百年という単位で間伐をしながら木を育てていきます。木を育てる過程の中に地域の循環が生まれていました。間伐材利用はその材寸により建築材料になったり、燃料になったりします。また木を植え育てることで地元雇用が生まれることも林業が地域の小さな循環型社会を作り上げる要因になっていました。人は昔から木を植え、育ててきたのです。しかし、日本の多くの山がそうであるように、この辺りの山も戦後過剰に植林された人工林であり、その多くが育てることを放棄された為、荒廃した人工林がたくさん見受けられます。木は植えたら育てないとダメなんです。そして、山を育てるためには、間伐が必要になり、間伐した木材を活用して家を建てたり、家具を作ったりと活用をしないといけないのです。薪にしてエネルギーに変えるのも良いですよね。

坂 成哉さん

そうやって間伐材を活用して森林循環を作ることが地域の循環型社会につながるのではないでしょうか。まちに暮らす人も木を使うことで、森に来なくても森づくり(林業)に参加することができます。まちの人たちには、そういった意識をもっと持って欲しいと思っています。“地域にある木”という重要な資源をどう使っていくかは日本全国でも喫緊の課題で、当社はその活用方法を「森と木のあるライフスタイル」と言う言葉で多くの方に活用方法を提案しています。森を育てる目的は木を資材やエネルギーとして活用するだけでなく、水をきれいにする目的もあります。例えば、田んぼで使われている水源は山にあります。当社がある亀山市加太地域のお米はとても美味しいと言われていますが、それは地域の山の環境が大きく影響しているのです。山を源にした水は最終的には海に流れ込んでいるので、山の環境は海の環境にも影響を与えています。また、山は災害防止にも一役を担っています。大雨が降った後の土石流を抑制するなど、自然災害(土砂災害)を軽減する為の森づくりもあるのです。 総じて言えば、山の環境の良し悪しは、林業、農業、河川や海の魚、全ての人の暮らしに直結し、密接に関係しているのです。

■加太地域のまちづくり

加太地域の人口は現在約900人です。加太小学校は、私が子どもの頃は1学年28人くらいだったのですが、今は1学年5、6人になってしまいました。加太地域も少子高齢化がどんどん進んでしまいましたが、この地域を活性化させていくのも私たちの重要な責務であると考えています。
かつては林業の町だった加太地域も現在では林業に関わっている方はほとんどいなくなりました。また、かつては個人で山を所有し枝打ちや間伐をして山を育てていた方も多くいました。製材工場もいくつかあったのですが、全てなくなり、製材工場は当社だけになってしまいました。

2018年から経営しているキャンプ場(かぶとの森テラス)の目的として地域材普及促進と地域活性化を掲げています。加太にある素晴らしい自然の中でキャンプをすることで、地域の山に興味を持ち、その現状を知っていただき、少しでも地域材(木材)を使う人が増えて欲しい、それが地域材普及促進につながり、地域活性化へ繋がっていくと信じています。もちろん、キャンプ場に遊びに来ることで加太に来るきっかけになり関係人口・交流人口もどんどん増やしていき、後には移住定住者を増やしていきたいという思いもあります。
加太地域には山や木のように活用されていない資源がたくさんあります。当社はこれからは休耕田、耕作放棄地や空き家の有効な活用についても提案していきたいと考えています。2年前からは耕作放棄地で自然薯をはじめとする農作物の栽培を始め、昨年は地域の田んぼを借りてお米づくりのイベントも行いました。短い募集期間にも関わらず10家族以上の方が名古屋、大阪、そして地元の亀山市から集まったことは多くの方が農業(子供に農業体験をさせたい)に高い関心があることを示しています。これらの取り組みは今後も継続して行っていくことで山、田、畑という地域資源を有効に活用し、全国的にも問題になっている空き家問題、過疎化問題にも取り組んでいきたいと思います。
私自身は昨年から加太地区のまちづくり協議会の副会長をしています。地域活性化には地域との連携は不可欠です。例えば、地域の伝統行事やお祭りのような地域の重要なイベントを復活させることも地域活性化には欠かせないことであり、その時に当社が地域と上手く連携できる体制を整えていきたいと思っています。私は当社が行政からも地域の住民からも信頼されながら地域の企業として存在すること、そして多くの方に頼られる存在になることを目標としています。そして、それが本当の地域企業の姿であると思っています。

■三重の木で家を建てる、家具をつくる

当社では新築の家を自社製材した三重の木を使って年間約5棟ほど建築させていただいています。また、地域材を使った自然素材リフォーム工事、家具も自社で製作しています。三重に住まう私たちが三重の木で家を建てる、ものづくりをすることは当たり前の事だと思っていますが、地域材を積極的に活用している工務店、家具メーカーがまだまだ少ないのが現実です。しかし、多くの事業者は「三重の木を使いたい」と思っているはずなのです。地域にとって、地域環境にとって一番良いのは地域材を使うことであることは理解していても、自分たちで新しい取引先を探すことが大変ですし、ずっと使っている材料で建てた方が慣れているし、手間がかからないからと言う理由でどうしても外国材や建材に頼ったものづくりをしているのだと思います。ぜひ一歩前へ進んで、三重の木を使いましょう!地域の木を使いましょう!きっと家を建てる方、家具を購入する方も地域材が一番良いということは分かっていると思います。

私は農業のイベントでは山や木の仕事がどれだけ農業に影響しているか、水がどこから来ているのかというような話をしています。実はお子様に話しかけるようにしながら、その後ろで話を聞いている保護者のみなさんに、山の環境を健全な状態にしないといけないと伝えています。今、山の木のほとんどが適齢(適寸)を超えて大きく成長しすぎて市場での引き合いがなく伐採できない状況になっています。山にとり残された木々がどんどん大木化していくと、台風や自然災害で倒れて山中でダム化し土石流などの大きな災害を起こしかねないのです。
結論、やはり木を植えたら育て、その過程の中で間伐材を有効に活用しないといけないのです。

■百年かぶとの森構想

三栄林産株式会社HP(https://sanei-rinsan.com/vision/)より

亀山市、鈴鹿市、四日市市を通り伊勢湾に流れ込んでいる鈴鹿川の源流域の一つが加太地域です。当社では鈴鹿川流域構想を掲げ上流である加太地域から下流である伊勢湾をつなぐ取り組みをしています。山から海へ、その流域にある町、人、企業、行政が一体となって地域環境を考える、地域環境を想いやる行動、活動ができればと考えています。その為に掲げたもう一つの構想が「百年かぶとの森構想」です。この構想は鈴鹿川流域の方にその源流域にある加太地域を知ってもらうこと、加太地域の環境を整えること、そして林業を主軸にした加太地域の活性化を目的にしています。これを実現する為には加太地域にある資源を有効に活用し活気あるまちづくりを進めていく必要があります。

百年かぶとの森構想は当社が思う理想の加太地域をイラスト化することで多くの方に共感を得ています。現在、当社では加太地域の魅力を伝える為、山林、農園、田んぼ、キャンプ場で各種イベントを実施していますが、参加された方には必ず、鈴鹿川流域構想と百年かぶとの森構想の話をし、自分たちの暮らしには山の環境が大きく影響していることや加太地域の田んぼで棲んでいる生き物や鈴鹿川源流域で泳いでいる魚の事を具体的に知ってもらい在来種が減ってきていることを伝えています。今、当社にできることは川上の現実を伝えることであり、それにより危機感を持ってくれた方と仲間になり、みんなで一緒に鈴鹿川流域構想を実現し、その先には百年かぶとの森構想の実現を目指しています。川上から川下(森から海)、その流域で暮らす人々との繋がりを作り出すことが当社のSDGsだと思っています。
ぜひ、まちの未来を一緒に考えていきましょう。

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