「モノを運ぶことは、人と人を結び、想いを届けること」大川運輸倉庫株式会社

「モノを運ぶことは、人と人を結び、想いを届けること」
大川運輸倉庫株式会社

大川運輸倉庫株式会社のオフィスは国道23号沿いの工場地帯にあります。主に近隣の工場、企業の工業製品の原材料等を預かり、届ける。三重県を始め、全国をマーケットにトラックによる輸送を業としています。
「トラックとSDGs」…。
トラック輸送業社として、「環境」「経済」「社会」そして「人権」の視点から、どのようにSDGs取組みをしているかについて、大川暁史社長にお聞きしました。

■環境の問題を意識して…

「保険会社からの勧めもあって、三重県のSDGsパートナー制度に登録をしました。弊社はどの目標に当てはまるかと考えた時に、デジタル化した運行記録計を使って走行距離、燃費消費、高速代などを細かく記録し、管理していることを思い出しました。その記録にはCO2排出量が概算で表示されていて、自社のトラックがどの程度CO2を排出しているのかを把握できると。それがSDGsの目標につながりました。また、近い将来、EVトラックが走るようになります。まだ、電池容量、走行距離、充電場所、充電に時間がかかるといった問題があります。製品が実態に即していない段階ですが、将来の実用化はされます。その時にはサスティナブルという点で、EVトラックを導入したいと考えています。EVトラックの他に、水素燃料を使ったトラックという選択も出てくるでしょう。この場所は、インターチェンジが近いので、遠い未来になるかもしれませんが、将来は幹線輸送が自動化され、水素燃料になれば排気も出ないからCO2を大幅に削減できるのではないかなとそんなことも考えています。
今のトラックは主にディーゼルエンジンを使っているので、有害物質を排出しているのではないかと言われます。その対策もしっかりしています。アドブルーという尿素の液体を排気ガスに噴射し、排気ガスが人体に影響がないレベルまで窒素と水に還元して排出しています。」

大川 暁史さん

■社員の健康管理と人権重視…

長距離輸送を主とする事業者として、社員の労務管理や安全教育には特に力を入れているそうです。
「SDGs目標の一つにある健康に関して、私の父であった先々代社長が若くして亡くなりました。その父が亡くなる前に、『社員に人間ドックを毎年受けさせること』ときつく言われました。その言いつけを守り、20代から60代までの社員全員が毎年一回、人間ドックを受けています。弊社は人がいてこそ、マンパワーがあってこその仕事です。人とトラックがあってこそ、仕事ができる。人を大切にしなければいけない。ドライバーである社員が安心、安全で仕事ができるように、社員とのコミュニケーションや相談の窓口を大切にしています。広義のSDGsとして捉えています。

先ほどの話でトラックに自動運転が始まったとしても、ドライバーは必要です。弊社は、一次産業的な原材料などを運んでいて、そういった物の運送はなくなることはないと考えています。川越は名古屋にも近く、四日市からトレーラーがコンテナを持ってくることもあり、一時預かり的な倉庫のニーズも高いです。人間は早く届いてほしい、という欲求を持ち、明日届くといったことに慣れてしまいます。そうなると運んでいる人、トラックドライバーの負荷が大きくなります。トラックドライバーの労働時間の管理はもちろんしていますが、労働時間帯は多くの人が寝ている夜、夜中です。だからこそ、健康や人権を大切にしなければと考えています。」

■地域との接点は…。

 「運送業と地域」と聞いてもなかなかイメージが浮かばないのですが…。
「いろいろなことをしていますよ。地元のスポーツ大会のスポンサーをしています。NPOに対しても寄付をしたり、活動に参加したり…。国際NGOに寄付をしたり…。地域の海岸清掃にも参加しました。この工業団地のすぐ先に高松海岸があって、年2回程度参加してごみを拾う。拾ったごみを運ぶのにトラックを出しています。県外で震災が起きた際には、救援物資を揃えて被災地にトラックで運びました。ここは海に近いので、三重県で大きな地震等が起きた場合には使えなくなる可能性が高い。菰野町に倉庫を持っているので、その倉庫は使えるかと考えています。

■NPOとのマッチングについては?

「四日市や川越町の地域で活動しているNPOさんへのご協力もできることはしたいと考えます。今、佐賀県のNPO法人への寄付を個人的にしていますが、たまたま名古屋を歩いていて、タイとカンボジアの子ども達への支援活動のチラシを渡され、子どもが学びたいのに学べない状況や内戦の状況を知り、寄付金の使用目的が奨学金と明確であったため、寄付しようと今も継続しています。私も子どもがいるので、子どものことはなにかしたいと考えています。NPOからこういうことが必要だという情報があればお手伝いできることであれば考えたいです。お月見泥棒御存じですか?四日市で暮らしていた時の風習で、今桑名に住んでいるのですが、桑名でも行われていて。子ども達が毎年お月見の日に「おつきみちょーだい」と言って地域を歩くんです。子ども達に300個くらいお菓子を用意し、渡しています。そういうことが好きなんですね。」

■取材を終えて…

大川運輸倉庫株式会社のホームページに、「大切にしてきたのは、ずっと変わらずそこにいて、お客様の期待に応え続けること。」とあります。「ずっと変わらずそこにいて」のフレーズが心にしみます。お客様だけでなく、社員にも、地域の環境や地域の子ども達にも、「そこにいつづけること」の安心感をもたらせてくれました。
SDGs、誰一人とりのこさない世界をつくるために、企業のありかたが問われています。
この先ずっと、そこにいて、業を通して、子どもや地域、地域の環境に関わっていく、関わっていこうといしている大川社長の「SDGs」にふれることができました。

大川運輸倉庫株式会社
設立 1966年1月
社員 35名
・令和4年三重県SDGs推進パートナー登録
・令和5年働きやすい職場認証制度(二つ星)認証取得

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