「未来へとつなぐ〜廃食油の燃料化」ミライコネクト株式会社

未来へとつなぐ〜廃食油の燃料化
平川 学 氏(ミライコネクト株式会社 代表取締役)
南 啓介 氏(ミライコネクト株式会社 グロースリーダー)
取材:2026年6月9日(火)

新しい事業をつくりたかった

平川 学 氏
(ミライコネクト株式会社 代表取締役)
南 啓介 氏
(ミライコネクト株式会社 グロースリーダー)

最初からCO₂削減や環境問題への強い思いがあったわけではありません。当時は、「これから必要とされる新しい事業をつくりたい」という想いが出発点でした。様々な事業を調べる中で出会ったのが、使用済み天ぷら油(廃食油)の回収です。当時の三重県では、廃食油回収に本格的に取り組む企業はほとんどありませんでした。「地域に必要とされる事業になる。」そう確信し、創業を決意しました。そして会社名を「ミライコネクト」としました。「ミライ」は未来。「コネクト」はつなぐ。廃棄物を運ぶ仕事を通して、持続可能な未来につないでいく仕事をしたい。そんな想いを社名に込めています。創業当初は「新しい事業をつくりたい」という気持ちが強かったのですが、事業を進めていくうちに、この事業の必要性や意義、面白さを強く感じるようになりました。

廃食油から未来をみつめる

現在、弊社では三重県全域で廃食油の回収を行っています。年間回収量は約300トン。学校給食施設、保育所、公共施設、飲食店など、706事業者の皆様から廃食油を回収しています。また伊勢市では一般家庭から排出される天ぷら油の分別回収を行っており、そこで回収された廃食油も弊社が回収しています。ここ数年、全国の自治体でも廃食油回収への関心が高まっています。私たちは廃食油を「廃棄物」とは考えていません。地域に眠る大切な資源だと考えています。そのため、1リットル10円で買い取りを行っています。お客様から商品として廃食油を購入していますので、廃棄物処理業の範囲で行っている事業ではないのです。

CO₂を出さない燃料をつくりたい

回収した廃食油は、高純度バイオディーゼル燃料へ生まれ変わります。もちろん、全ての廃食油を燃料化するわけではありません。品質の高い燃料を製造するため、比較的きれいな廃食油を優先して使用しています。私たちが目指しているのは、軽油に代わる新しいエネルギーです。現在、多くのトラックや建設機械は石油由来の軽油を使用しています。化石燃料は燃焼時にCO₂を排出するだけでなく、その多くを海外から輸入しているため、輸送にもエネルギーを必要とします。一方、植物由来のバイオ燃料も燃焼時にはCO₂を排出します。しかし、原料となる植物は成長過程でCO₂を吸収しています。実質的にはCO₂排出-CO₂吸収=ゼロとなり大気中のCO₂を増やさない「カーボンニュートラル」となります。

脱炭素を目指す

地球温暖化や気候変動を考えると「脱炭素」はとても重要であり、喫緊の課題です。2025年に開催された大阪・関西万博の建設工事や解体工事では、重機などに高純度バイオディーゼル燃料が活用されました。大手ゼネコンでは脱炭素への投資が進んでいますが、中小企業ではコスト面が課題となっているように感じています。弊社が現在製造しているのは植物油由来100%の燃料です。日本の制度上、正式に広く利用できるのは、B100(100%バイオ燃料)とB5(軽油にバイオ燃料5%混合した燃料)の2種類です。今後はB5燃料を主力商品として販売していく予定です。B5であれば、通常の軽油と同じように使用できるため、メーカーの保証も維持されるからです。利用者にとっても導入しやすい燃料です。

次々と想い描く…

私たちの挑戦は、廃食油を回収してバイオ燃料を製造することだけでは終わりません。製造過程で発生するグリセリンの有効活用をはじめ、生ごみや食品残さを活用した堆肥化、バイオガス発電など、地域で発生する資源を地域で循環させる仕組みを構築したいと考えています。将来的には、「廃食油回収」「燃料製造」「生ごみ堆肥化」「バイオガス発電」「農業」を一つの循環としてつなぎ、地域課題を地域資源へと変えるモデルを実現したいと思っています。その先に目指しているのが環境教育です。学校で排出された廃食油を回収し、「何リットル集まったのか」「何リットルの燃料になったのか」「どれだけCO₂削減につながったのか」を見える化することで、子供たちが自分たちの行動と環境問題とのつながりを実感できる仕組みをつくりたいと考えています。まだ構想段階ですが、行政、学校、企業などと連携し、地域全体で資源循環に取り組める仕組みを実現したいと思っています。現在の課題は、製造した燃料の販売先をさらに広げることです。今後は自社の回収車にも活用し、地域で回収した廃食油を地域で使う「エネルギーの地産地消」を目指しています。品質や安全性を最優先に、分析機関や専門家と連携しながら、安心して利用していただける燃料づくりを進めていきます。そして何より、多くの方にこの取り組みを知っていただきたいと思っています。知っていただくことが廃食油回収量の増加につながり、資源循環の輪もさらに大きくなります。ミライコネクトが目指しているのは、単に廃食油を燃料へ変えることだけではありません。地域課題を地域資源へ。地域で生まれた資源を地域で活かし、持続可能な未来へつないでいくこと。それが、ミライコネクトという社名に込めた想いであり、私たちの挑戦です。

ミライコネクト株式会社
2023年6月創業。三重県全域で廃食油の買取回収と、伊勢市・玉城町・明和町を中心に事業系一般廃棄物の収集運搬を行っています。ごみ回収は、62事業者の皆様からご依頼をいただいています。主に飲食店、ホテル、介護施設などから排出される廃食油や食品残さ、可燃ごみを回収しています。ミライコネクトの収集車には重量計が搭載されており、事業者から排出される廃棄物の量を量り、そのデータを基に排出量を見える化しています。排出削減目標の設定やレポートの作成を通じて、お客様の環境負荷低減を支援しています。廃棄物運搬車にラッピングNo Dust,№ Life

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