「ひろげ、つなぎ、巻きこむSDGs」スズカグループ・株式会社スズカ未来

「ひろげ、つなぎ、巻きこむSDGs」
スズカグループ・株式会社スズカ未来

株式会社スズカ未来…。食品検査、食品表示、食品資材、パッケージデザイン、食品開発、業務用食品の通販、レンタルキッチンなど食品に関する多岐にわたる事業を展開しています。経営企画部長の松尾一次さんにお話しを伺いました。

■「つつむ」から始まった

「当社は創業75年目になります。元々は、木を薄く切って作った『経木』というオニギリやタコ焼きの皿を作っていたメーカーでした。60年ほど前にプラスチック製品が市場にでまわるようになり、これからはプラスチックの時代だと業務内容を転換し、プラスチック資材を扱う会社となり、商社であり問屋です。4つの柱で事業をすすめています。まず、全国、青森から沖縄まで約2600社の問屋に包装資材を販売しています。そして、全国1200店舗以上お店を出している外食産業の会社には、のぼり、メニュー表、テイクアウトの皿・スプーン、厨房の寸胴鍋、従業員のマスク、ユニフォーム、靴、帽子などの食べ物以外を全て当社が提供しています。

松尾 一次さん

また、コロナ禍に配達サービスを始められた取引先から、『配達をする際の悪質な行為から食品を守るための包装をできるだけお金をかけずに考えてほしい』と要望があり、何種類か提案しました。その中の一つが採用され、全国に配達する際に使われています。さらに、三重県の水産加工メーカーや食品メーカーは小さな会社が多いですが、どんな商品でもパッケージは必要です。パッケージには成分表示や賞味期限が記載されています。当社は食品検査センターを持ち、賞味・消費期限設定から栄養成分分析、食品表示の相談にも対応しています。他、愛知県1店舗、三重県7店舗のプロマーケットという直営の業務用マーケットを持っており、業務用食材と資材消耗品を販売しています。飲食店等業務用が70%、一般30%の割合です。このように4つの柱があれば、一つの事業が難しくなっても、他事業で経営を維持できます。また、㈱スズカ未来と5つの事業者によるスズカグループによってSDGs取組みを展開しています。」

■スズカSDGs

スズカグループでは「地球にやさしいは経営にやさしい」と考えて、様々な取組を展開しています。

【環境を大切に~エコノワプロジェクト】

2021年に発足した環境への関心を高め、多くの人にエコの輪を広げたいという環境プロジェクトです。
「今、プラスチックが世の中の悪のように言われています。プラスチックを販売してきた商社として、「プラスチックの問題」に取り組んでいます。営業担当者とプラスチック以外でできた包装資材のショールームとカタログを作りました。プラスチックを使用しない包装資材は値段が高く4~5倍します。日本の飲食店や消費者は、日常生活で使用している消耗容器を環境に配慮したものに変えようとなかなかしない。値段が高いことが原因かもしれません。また、当社が大事にしているのは、包装資材の質です。プラスチックストローの代わりに最近出ている紙のストロー。口当たりがよくなく、食品の味も変わってしまう。味や触感を大切にして脱プラスチックに取組んでいきたい。」

【地域とともに~短大・高校・小中学校とともに】

地元の小・中学生、高校生、短期大学生と産学連携の様々な取組みを展開されています。

「三重とこわか国体・三重とこわか大会を覚えていますか。当社は弁当箱や中敷きトレーの寄付を行いました。ところが、コロナ禍で開催中止になってしまい、準備したものをすべて廃棄しなければいけなくなり、何か活用方法がないかと社内で検討しました。鈴鹿市長と鈴鹿市国体実行委員会と協議をし、鈴鹿市内の小中学校に国体弁当箱の給食を提供しました。市制75周年でもあったので、鈴鹿のラグビー・サッカー・ハンドボールの3つのプロチームのビデオメッセージを流してもらいました。

その給食を食べた小学校1年生からお礼の手紙が届き、そのことが新聞記事になりました。新聞記事を読んだお母さんが「こんな良いことやってる会社に入りたい」と3名パートで働いてくださっています。また、当社の取引先から「新しいイタリアンの店を出すので、そのロゴとデザインを考えてほしい」と依頼がありました。ワークショップで進めようと飯野高校デザイン科に参加依頼し快諾いただきました。1年生80名にデザインを送っていただきました。その中からデザイナーのサポートのもと、ロゴマークと食品パッケージを制作しました。今、イタリアン店に使われています。もう一つ。鈴鹿大学短期大学部食物栄養学の授業に協力しています。食に関わる企業としてSDGsに関する学びの場を作ることを目的に、毎年テーマを変えて、食品が販売に至るまでのプロセスなどを学びあっています。『SDGS未来の食を考えるプロジェクト』と名付け、サスティナブルチョコレートの試作や、三重県の食材を使った一品料理づくりなどを行いました。他にも、高校生の企業訪問の受け入れや子どもの貧困支援に関する取組みもしています。」

【人権~障がいのある方の働く場所「みらいあい」】

「みらいあい」は、「出逢い(職場提供)」「支え合い(他者への思いやり)」「見守る目(EYE)(自立支援)」の3つの「愛」をもとに設立されたA型支援の事業所です。障害のある子どもや大人12名が、当社の亀山物流センターでピッキングとか小分けの作業をしています。その中の1~2名は正社員として入社します。障害のある方はなかなか正社員になることが難しいため、保護者はとても喜んでいるそうです。

【社員とともに】
社員が生き生き伸び伸びと働きやすい職場づくり、社員からの提案や意見をとても大切にしています。エコノハはネーミングも企画も社員のアイデアです。また、社員全員が参加する毎月1日の環境デーでは、各営業所の周りのゴミ拾い、草抜きなどの清掃を社員全員で行っています。

■取材を終えて

「経木」から脱プラスチック、そして高校生によるロゴ・デザイン、大学生と未来の食を考える…。そのひろがりとSDGs目標との連関性に驚きと次なる可能性を感じました。実施していたことが、人を繋ぎ、SDGsにつながっていた。自社の強みを広げ、活かし、さらに活かし広げて、社員、次世代や市場を巻き込んでいく。まさに「人に自然にやさしいサスティナブル経営」です。

株式会社スズカ未来
創業 昭和23年(1948年)

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